こんにちは! 篠田優奈です。
「資金繰りって、Excelとにらめっこする苦行だと思っていませんか?」
実は私、前職のITベンチャーで経理から財務まで一人で担当していた時期があるんですが、最初はまさにそう思っていました。 毎月末になると、Excelの複雑な計算式と格闘して、「来月の支払い大丈夫かな…」ってヒヤヒヤしてたんです。
でも、キャッシュフローの本質を理解してクラウドツールを使いこなすようになってから、資金管理が本当に「未来を予測する楽しいゲーム」に変わったんです!
今では多くのスタートアップ経営者の方から「篠田さんのおかげで、お金の流れが手に取るようにわかるようになりました」って言っていただけるようになりました。
この記事では、私の実体験も交えながら、キャッシュフローの基本から実践的な管理方法まで、わかりやすく解説していきます。
読み終わる頃には、あなたも会社の「お金の流れ」をしっかり把握できるようになっているはずです!
目次
「キャッシュフロー」って、結局なに?利益との違いをサクッと解説
お金は入ってきた?出ていった?会社のリアルな現金の動き
まず最初に、キャッシュフローの定義をサクッと確認しておきましょう。
キャッシュフロー(Cash Flow) = 現金(キャッシュ)の流れ(フロー)
つまり、会社に実際にお金が入ってきたり、出ていったりする動きのことです。
ここで重要なのは「実際に」という部分。 売上が立っても、まだお金が振り込まれていなければ、キャッシュフローではプラスになりません。 逆に、まだ商品を受け取っていなくても、先にお金を支払ってしまえば、キャッシュフローではマイナスになります。
簡単に言うと、銀行口座の残高の増減を追いかけているイメージですね!
「利益は出てるのに、なぜかお金がない…」その謎を解くカギ
スタートアップを経営していると、こんな状況に陥ったことありませんか?
「今月も売上目標達成したし、損益計算書では黒字なのに、なぜか口座残高がピンチ…」
これ、実は多くの経営者が体験する「あるある」なんです。
利益とキャッシュフローの違いを理解すれば、この謎が解けます。
項目 | 利益(損益計算書) | キャッシュフロー |
---|---|---|
計上タイミング | 商品・サービスを提供した時点 | 実際にお金が入金された時点 |
売掛金 | 売上として計上済み | まだ現金化されていない |
減価償却費 | 費用として計上 | 実際の現金支出はなし |
借入金返済 | 利益に影響しない | 現金が減る |
例えば、100万円の案件を受注して納品完了したとします。 損益計算書では100万円の売上として計上されますが、支払いが翌月末なら、今月のキャッシュフローには反映されません。
一方で、オフィスの家賃や従業員の給与は毎月確実に支払う必要があります。 こうして「利益は出てるのにお金がない」状況が生まれるんです。
なぜ今、スタートアップ経営者がキャッシュフローを学ぶべきなのか
スタートアップの世界では、「成長のためには赤字も仕方ない」という考え方がありますよね。 確かに、将来への投資として一時的な赤字は必要です。
でも、キャッシュフローの管理は別次元の話なんです。
スタートアップにとってキャッシュフローが重要な理由:
- 資金調達のタイミングが読める 次のラウンドまでにどれだけの期間があるか正確に把握できます
- 投資家への説得力が増す 「感覚」ではなく「数字」で事業の健全性を示せます
- 意思決定のスピードが上がる 新しい施策に投資すべきかどうか、データに基づいて判断できます
- チーム全体の安心感が向上 「来月の給与、大丈夫?」という不安がなくなります
私がコンサルしているスタートアップでも、キャッシュフロー管理を始めてから、経営判断の精度が格段に上がったという声をよく聞きます。
「ヤバい…!」を防ぐ。キャッシュフローが超重要な3つの理由
理由1:黒字なのに倒産?恐怖の「黒字倒産」から会社を守る
「黒字倒産」って聞いたことありますか? これ、決して他人事じゃないんです。
実は、統計データを見ると驚愕の事実が…
倒産全件数のうち3社に1社は黒字倒産
さらに2024年のデータでは、休廃業した企業のうち51.1%が直近損益で黒字の企業だったんです。
つまり、利益が出ていても、半分以上の企業が事業を続けられなくなっているということ。
黒字倒産が起こる典型的なパターン:
パターン1:売掛金の回収遅延
大口顧客からの入金が3ヶ月遅れただけで、毎月の固定費が支払えなくなる
パターン2:急成長による資金需要の増加
売上が伸びるほど、仕入れや人件費の先行投資が必要になり、現金が足りなくなる
パターン3:借入金返済のタイミング
利益は出ているが、借入金の元本返済分を考慮していなかった
私が以前コンサルした会社でも、月商1,000万円で順調に成長していたのに、大手クライアントの支払いサイトが延びただけで、一気に資金繰りが悪化したケースがありました。
幸い早めに対策を打てたので事なきを得ましたが、キャッシュフロー管理の重要性を痛感した出来事でした。
理由2:会社の健康状態がひとめでわかる「お金の健康診断書」
キャッシュフロー計算書は、よく「会社の健康診断書」って呼ばれるんです。 これがあれば、会社の本当の体力がひと目でわかります。
人間の健康診断で血液検査をするように、会社も「お金の流れ」を定期的にチェックする必要があるんです。
健康診断書(キャッシュフロー計算書)で分かること:
- 体力(現金残高)はどれくらい?
- 栄養(売上からの現金収入)はちゃんと摂れてる?
- 無駄遣い(不要な支出)はない?
- 成長のための投資は適切?
例えば、営業利益は出ているのに営業キャッシュフローがマイナスなら、「売上は伸びてるけど、現金化できていない」という状況。 これは「食べてるのに栄養が吸収されていない」状態と似ています。
早めに対策を打てば改善できますが、放置すると深刻な問題に発展する可能性があります。
理由3:未来の投資計画が立てられる!「攻めの経営」へのパスポート
キャッシュフロー管理ができるようになると、「守り」だけでなく「攻め」の経営ができるようになります。
攻めの経営の具体例:
新規事業への投資タイミングの最適化
「3ヶ月後に大口契約の入金があるから、今のうちに新サービスの開発に投資しよう」
人材採用の戦略的な実行
「来四半期のキャッシュフローを見ると、優秀なエンジニアを2名採用できる余裕がある」
マーケティング投資の拡大
「今月は予想以上にキャッシュフローが良いから、広告予算を追加投入しよう」
私がサポートしているあるSaaSスタートアップでは、キャッシュフロー予測をもとに、競合他社より早いタイミングで優秀な人材を採用できました。 結果として、プロダクト開発が加速し、競合優位性を築くことができたんです。
数字に基づく意思決定ができると、経営のスピード感が全然違ってきます!
会社の今が丸わかり!3つのキャッシュフローを読み解こう
キャッシュフロー計算書は、3つの活動に分けて整理されています。 この3つを理解すれば、会社の「過去・現在・未来」が見えてくるんです!
営業キャッシュフロー:本業でしっかり稼げているかの指標
営業キャッシュフロー = 本業の営業活動から実際に得られた現金の流れ
これは会社の「基礎体力」を表す最重要指標です。
プラスの場合: 本業がしっかりと現金を生み出している健全な状態
マイナスの場合: 本業で現金を消費している状態(要注意!)
営業キャッシュフローに含まれるもの
- 商品・サービスの売上代金の回収
- 仕入れ代金や人件費の支払い
- 税金の支払い
- 利息の受取・支払い
私の経験談: 前職で営業キャッシュフローがマイナスになった月があったんです。 原因を調べると、大口顧客の支払いサイトが60日から90日に延びていたことが判明。
すぐに営業チームと連携して支払い条件の見直し交渉を行い、翌月には改善できました。 営業キャッシュフローをモニタリングしていたから、早期発見・早期対応ができたんです。
投資キャッシュフロー:未来のためにどんなチャレンジをしているかが見える
投資キャッシュフロー = 設備投資や事業投資による現金の流れ
これは会社の「成長への意欲」を表す指標です。
マイナスの場合: 積極的に将来への投資を行っている状態(成長企業の証拠!)
プラスの場合: 資産を売却して現金を得ている状態(資金調達目的の可能性も)
投資キャッシュフローに含まれるもの
- オフィスや設備の購入・売却
- ソフトウェアの購入・開発
- 他社への出資・買収
- 有価証券の売買
スタートアップでよくあるパターン:
- 設備投資期:オフィス移転、開発環境整備 → 投資キャッシュフローは大きなマイナス
- 成長投資期:新サービス開発、M&A → 投資キャッシュフローは継続的なマイナス
- 安定期:大きな投資は落ち着く → 投資キャッシュフローは小幅なマイナス
投資キャッシュフローがマイナスでも、それが将来の成長につながる投資なら全く問題ありません。 むしろ、成長企業の証拠と言えるでしょう!
財務キャッシュフロー:資金調達や返済の状況をチェック
財務キャッシュフロー = 資金調達と返済による現金の流れ
これは会社の「資金戦略」を表す指標です。
プラスの場合: 資金調達(借入・増資)により現金が増加
マイナスの場合: 借入返済や配当により現金が減少
財務キャッシュフローに含まれるもの
- 銀行からの借入・返済
- 投資家からの資金調達
- 配当金の支払い
- 自己株式の取得
スタートアップの財務キャッシュフロー戦略:
- シードステージ:エンジェル投資家からの調達でプラス
- シリーズA〜B:VCからの大型調達でプラス
- 成長期以降:借入返済でマイナス傾向
【篠田流チェックポイント】若手経営者なら、まずはココだけ見て!
3つのキャッシュフローの組み合わせで、会社の状況が一目瞭然になります。
私がコンサルで必ずチェックする5つのパターン:
🟢 理想的なパターン(優良企業型)
- 営業CF:プラス → 本業で稼げている
- 投資CF:マイナス → 成長投資を継続
- 財務CF:マイナス → 借入返済が順調
🟡 積極投資パターン(成長企業型)
- 営業CF:プラス → 本業で稼げている
- 投資CF:マイナス → 積極的な成長投資
- 財務CF:プラス → 投資資金を調達
🟡 スタートアップパターン(初期段階)
- 営業CF:マイナス → まだ収益化前
- 投資CF:マイナス → 事業基盤への投資
- 財務CF:プラス → 資金調達で資金確保
🔴 要注意パターン(資金繰り悪化)
- 営業CF:マイナス → 本業で現金を消費
- 投資CF:プラス → 資産売却で資金確保
- 財務CF:プラス → 緊急の資金調達
🔴 危険パターン(倒産リスク)
- 営業CF:マイナス → 本業で現金を消費
- 投資CF:プラス → 資産売却を継続
- 財務CF:マイナス → 返済負担が重い
若手経営者の皆さんへのアドバイス:
最初は細かい数字にこだわらず、この5パターンのどれに当てはまるかを確認するだけでOKです。 慣れてきたら、各数字の詳細分析に進んでいきましょう!
脱・Excel管理!リアルタイムでキャッシュフローを味方につける方法
私がExcel管理をやめたワケ。スタートアップに潜む危険な落とし穴
正直に告白します。 私も最初は「Excelで十分でしょ?」って思ってました。
前職のITベンチャーで、社員30名規模の会社のバックオフィスを一人で担当していた時期があります。 毎月、複雑なExcelシートとにらめっこして、数式を駆使して資金繰り表を作っていました。
でも、ある日気づいたんです。
「これって、過去の整理に時間をかけすぎて、未来を考える時間がない…」
Excel管理の限界を感じた3つの瞬間
- リアルタイム性の欠如 月次でしか数字が更新されないので、「今、口座残高どうなってる?」がわからない
- ヒューマンエラーの多発 複雑な数式を組んでいるうちに、どこかで計算ミスが発生
- 属人化リスク 私が休むと、誰も資金状況を把握できない状態
特に印象的だったのは、大口顧客からの入金が遅れた時のこと。 Excelでは「予定通り入金される」前提で計算していたので、実際の資金ショートに気づくのが遅れてしまいました。
「これは危険だ。もっとリアルタイムで、正確に、誰でも見られる仕組みが必要だ」
そう思って、クラウドツールでの資金管理システム構築を始めたんです。
クラウド会計ソフトで資金繰りはどう変わる?
クラウド会計ソフトを導入してから、資金管理が劇的に変わりました。
Before(Excel時代)
- 月次更新で、常に1ヶ月古い情報
- 手作業による転記ミスが頻発
- 複雑な数式でブラックボックス化
- 私しか操作できない属人的運用
After(クラウド時代)
- リアルタイムで最新情報を確認
- 銀行連携で自動取得、ミスゼロ
- 直感的なダッシュボードで可視化
- チーム全員が必要な情報にアクセス可能
クラウド会計ソフトの主要メリット
1. 銀行口座との自動連携 銀行口座やクレジットカードと連携して、入出金データを自動取得。 手作業での転記作業が大幅削減されます。
2. リアルタイムダッシュボード 現在の現金残高、今月の収支予測、来月の支払い予定が一画面で確認できます。
3. 予実管理機能 予算と実績を比較して、計画からの乖離を早期発見できます。
4. アクセス権限管理 経営陣、経理担当、税理士など、役割に応じて適切な情報共有が可能です。
5. モバイル対応 外出先でもスマホから資金状況を確認できるので、商談での投資判断もスピーディに。
【実例】これならできそう!私のおすすめSaaS連携テクニック
最後に、私が実際にクライアントにおすすめしている「SaaS連携テクニック」をご紹介します。
これを実装すれば、**「リアルタイムキャッシュフロー管理」**が実現できます!
基本構成:会計ソフト中心のエコシステム
🏦 銀行・カード連携
- 全ての法人口座・クレジットカードを会計ソフトに連携
- 入出金データの自動取得・自動仕訳
📊 売上管理システム連携
- 請求書発行システム(freee請求書、Misocaなど)
- 売掛金の回収予定を自動反映
💼 経費精算システム連携
- 従業員の経費精算を自動で会計データに反映
- 現金支出のタイムラグを最小化
📈 予算管理ツール連携
- 予算作成・管理ツールで中長期計画を作成
- 実績との乖離を自動アラート
私の推奨構成例
- 会計ソフト:freee会計 or マネーフォワードクラウド会計
- 請求管理:freee請求書 or MFクラウド請求書
- 経費精算:freee経費精算 or MFクラウド経費
- 資金繰り予測:freee資金繰り改善ナビ
- 銀行API連携:各メガバンク・ネット銀行の法人API
実装後の業務フロー
毎朝の日課(所要時間:5分)
- 会計ソフトのダッシュボードを確認
- 前日の入出金をチェック
- 今週の支払い予定を確認
- 異常値があれば詳細調査
月次の作業(所要時間:30分)
- 自動連携データの確認・補正
- キャッシュフロー予測の更新
- 予実差異の分析
- 来月の資金繰り計画の調整
以前は月末に丸2日かかっていた作業が、今では30分で終わります。
空いた時間で、戦略的な財務企画や新規事業の収支シミュレーションに集中できるようになりました。
導入のコツ:小さく始めて、大きく育てる
Step 1:銀行連携から始める まずは主要な銀行口座1〜2個を会計ソフトに連携
Step 2:請求書管理を追加 売掛金の管理精度を向上
Step 3:経費精算システムを統合 全ての現金の動きを可視化
Step 4:予算管理・予測機能を活用 未来志向の資金管理にレベルアップ
「完璧を目指さず、まずは今より少しでも良い状態を作る」
これが、私のクライアントが成功している共通点です。
まとめ
キャッシュフローは会社の「血液」です。 どんなに優秀なアイデアや技術があっても、お金の流れが止まれば会社は存続できません。
でも逆に言えば、キャッシュフローをしっかり管理できれば、会社の「過去・現在・未来」が見えて、より大胆で戦略的な経営判断ができるようになります。
今日からできる3つのアクション
- 現状把握:3つのキャッシュフローで自社の健康状態をチェック まずは営業・投資・財務の各キャッシュフローが、どのパターンに当てはまるかを確認してみてください。
- ツール導入:Excel卒業を検討する リアルタイム管理の価値を体感するため、クラウド会計ソフトの無料トライアルを試してみてください。
- 習慣化:週次でキャッシュフローをチェックする仕組みを作る 毎週決まった曜日に、5分だけでも現金残高と来週の予定を確認する習慣を作りましょう。
不安を自信に変える、資金管理の第一歩
私は今でも、前職でキャッシュフロー管理に苦労した経験を鮮明に覚えています。 でも、その苦労があったからこそ、今多くのスタートアップ経営者の皆さんのお役に立てているんだと思います。
「資金繰りの不安がなくなれば、もっと大胆な挑戦ができる」
これは私がいつもクライアントにお伝えしている言葉です。
キャッシュフロー管理は難しいものではありません。 正しい知識と適切なツールがあれば、誰でも会社のお金の流れをコントロールできるようになります。
あなたの会社が次のステージに成長するために、まずはキャッシュフローという強力な武器を手に入れてください。
もし分からないことがあれば、いつでもSNSでお声かけくださいね! 一緒に、資金繰りを「苦行」から「楽しいゲーム」に変えていきましょう!
篠田優奈 財務コンサルタント兼ライター 「バックオフィスこそ最強の攻め部隊だ」をモットーに、スタートアップの成長を財務面からサポート